2007年05月23日

動き出した次世代高速無線アクセス技術、WiMAX

動き出した次世代高速無線アクセス技術、WiMAX

 第3世代携帯電話(3G)の展開が本格化する一方で、固定無線アクセスの分野でも無線LAN(WiFi)より広い範囲で高速通信が可能になるWiMAX(注)の現場試験に取り組む通信会社が増加している。

さらに、今年秋に携帯端末用の規格がまとまる予定のモバイルWiMAXに対する関心が一段と高まっている。韓国のように、固定通信用のWiMAXをスキップして一気にモバイルWiMAX(韓国の場合は独自開発によるWiBRO)の商用化を目指す国もある。

以下に、最近における高速無線アクセス・サービス、WiMAXの動向をレポートする。
(注)WiMAX:Worldwide Interoperability for Microwave Access


■加速するWiMAXの開発競争、関心はモビリティへ

 現在電話会社など(韓国を除く)が商用化に向けた実証実験に取り組んでいるのは、2004年6月にWiMAXフォーラムによって標準化されたIEEE 802.16で、モビリティをサポートしない固定WiMAXである。2〜11GHz帯の周波数を使って、1基地局当り最大280Mbpsの速度で、半径50Kmの通信が出来るとされている。

今年の5月にWiMAXフォーラムは欧州の通信規格制定機関のETSIと、WiMAXが無線MAN(Metropolitan Area Network)技術に関する世界で唯一の標準であることを確認する正式な協定を締結したことを公表している。

 WiMAX向けチップの開発をリードしてきたインテルは、「ローズデール」として知られている新WiMAXチップを今年末に出荷を開始する予定である。同社は2004年3月に、WiMAX向け機器市場のリーダーであるアルカテルと、2005年下半期までにWiMAX向け機器の出荷を開始することで非排他的な提携関係を結んでいた。

この他、富士通も今年の早い時期に、WiMAX向けチップの開発を開始しており、2006年には出荷したい意向である。さらに、WiMAXフォーラムのメンバーであるAirspan Networks、Alvarion、Aperto Networks、Ensemble Communications、Navini Networks、Proxim、Wi-LANなどの新興企業及びノキアが、WiMAX機器の出荷開始を2005年か2006年に計画している。

一方、通信会社のWiMAXに関する関心は高く、2005年末までには世界中の75社超が試験を開始するとみられている。

 Aperto Networksは、802.16のチップとデータ・カードが市場でヒットすれば、顧客構内に設置する設備(CPE)を300ドルで出荷できるだろう、その後は値下りし結局現在の無線LAN(WiFi)カードの価格である30ドルになるかもしれない,と見通しを述べている。

また、多くのWiMAXベンダーは、顧客自身が設置できる窓に貼り付けるアンテナや屋根に設置する設備を提供する計画である。最初にWiMAXフォーラムが認証する製品は固定WiMAX向けであり、3.5GHz帯の製品をカバーすることになるだろうという。

将来における製品の高度化にあたっては、以前の製品との互換性の確保を同フォーラムが認証することを考えている(注)。いずれにしても、WiMAX関連機器の価格は、携帯電話ではなくWiFiのそれに近づくことが期待できそうだ。

都市地域では、固定ブロードバンドのADSLやケーブル・モデムとの競合もありうるとみられている。

(注)Here comes WiMAX world,Tech Knowledge from S&P(BusinessWeek online / June 20,2005)

 WiMAXフォーラムは、モバイルWiMAX(802.16e)の規格を今年の下半期に制定する意向のようだ。また、同フォーラムはラップトップ及びハンドヘルド・コンピュータからのハンドオーバーをサポートするモバイル・ワイヤレス・アクセスの規格制定を2007年の早期に行う計画である。

デルやその他の主要なPCメーカーは、ラップトップにWiMAXの機能を内蔵する(WiFiの機能を内蔵したセントリーノに相当する)ための設計要件について、すでにインテルやその他のチップ・メーカーと話し合いを始めている模様だ。

 今年5月に、モバイルWiMAXの独自規格(WiBRO)制定を目指して、通信会社と共同で実験を続けている韓国のサムスン及びLGエレクトロニクスなどのメーカーが,WiMAXフォーラムに加盟することを発表した。これは、韓国がWiBRO(2.3GHz帯)をWiMAXフォーラムの枠組みの中で,国際標準化したいとする協調的な態度に転換したと受け止められ、歓迎されている。

 WiMAXの技術開発は、家庭などの固定端末向けが先行した。コストの高い有線通信網を敷設せずに高速インターネット接続を実現できるからだ。特に、過疎地域や発展途上国でのブロードバンド需要を充たすのに効果を発揮すると期待されていた。

有線の高速通信網が整備されている都市地域ではそのメリットが見えにくかったが、WiMAXのモビリティ機能が見えてきたことから、モバイル・ブロードバンドを効率的に実現する有力な技術として通信会社の関心が高まり、開発に拍車がかかっている。

 前掲のビジネスウィーク・オンライン版のS&Pのレポートによると、設備やチップのメーカーがWiMAXソリューションの将来に関する「ウィン・ウィン」シナリオを発表しているが、サービス・プロバイダー側のビジネスという視点からは、これが確信の持てる見取り図だとはとてもいえない、と指摘している。

現状では、WiMAX免許の前提となる周波数の割り当てに関する方針さえ明確になっていない。それでも、新免許の取得には新興企業を優遇する措置が取られることを見込んで、クレイグ・マッコウ氏(注)のClearwire(非上場企業)が独自のWiMAXタイプの技術に関する試験を全米15ヶ所以上で実施し、他社に先行している。

大手の電話会社は、規制とマーケティングの駆け引きを通じて、WiMAXの拡大を遅らせようと試みるだろうが、その努力は恐らく失敗するだろう。WiMAXから利益を得るのは一般利用者だけでなく、すでにWiFiのアプリケーションを取り入れている大企業にも利益をもたらすからで、WiMAXが次ぎのステップとなることは当然である。S&Pの意見は、相手と闘えないなら、その相手と組めということだ、と書いている。

posted by 次世代無線通信【決定版】 at 07:49| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
押し後残します
Posted by 人妻 at 2008年01月26日 15:50
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